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純潔のマリア 1 (アフタヌーンKC)
純潔のマリア 1 (アフタヌーンKC) (JUGEMレビュー »)
石川 雅之
『天使と教会と百年戦争に、魔女は(処女だけど。)ケンカを売った。』←帯より引用

説得力と深みのあるファンタジー。時代考証からなる世界観が素晴らしくて、引き込まれる事請け合い!
ゆんるい(私的にツボ)ギャグパートも色々と考えさせられるシリアスパートも素敵。言葉選び&遊びがその独特のノリに拍車をかけていて、更に引き込まれる事請け合い!

なんて語りつつ…ぶっちゃけ通信兵とマリアのあれこれがストライク通り越してターキー。二人の今後に大期待…!

アルテミス(使い魔白フクロウ♀)ぬいぐるみ付き限定版も発売中。
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注意一秒妄想一生

アルスト片割れ結原の呟き場兼妄想書き殴り場。
基本FFCC置き場(MOTHER2、他FFも有)で、今は純潔のマリアにもお熱?
ログはリンク先の本家(アルストロメリア)に収納中。
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その風を信じて
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    キリク>>セルキーべあふぃすと
    関心を持つ者/物にしか心を許さない青年。
    飄々としているように見えてその実洞察眼に長ける。
    クララクルル>>クラヴァットろんぐ
    温和で優しくおっとりしていて、天然&純真な少女。
    クリスタル・グースの歌&絵本が大好き。

    他、ヴェルーティア(らくん♀、クララクルルの親友)と
    アウル(むぞうさ、キリクの親友)も登場。



    読んでやろうじゃまいか、という方は続きからどうぞv







    風が吹く場所 消えては生まれる場所
    冷たい風が旅立って 暖かい風が帰ってくる
    信じる信じないはあなたの自由よ
    ただそこには いつだって風が吹いている
          〜クリスタル・グース『風の行方』より一部抜粋〜


    そのを信じて








    「……どうしても行くのか?」

     セルキーの青年の呻きにも似た問いに、
     クラヴァットの少女は微笑んで、しかしはっきりと答えた。
    「うん」
     胸元で手を握り締め、
     身から溢れる喜びそのままに軽く飛び跳ねた少女の長い髪が、
     同じようにぴょこぴょこと跳ねる。
    「行ったことが無い所だもの、行ってみたいの。
     ミルラの雫だってもう少し必要でしょう?」
     少女の朗らかな笑みの前で、彼は溜息を吐くしかない。
     その無敵の笑みの前では、彼の意志も、
     我を貫く事を美徳とする種族の固定観念すらも
     ねじ伏せられてしまう。
     それは、その少女だけの力だ。
     正しくは、そんな少女に惹かれている彼が
     自らに…望まずと無意識に…課してしまう戒め。
     その笑みもその少女も、真実無敵ではない。
     ただ、ことそんな彼に対しては、無敗を誇るだけで。
     それを少女は…少女だけは、気付いていないだけで。
     ――はぁ、と、二重の意味を含め、殊更大きな溜息を吐く青年の、
     青紫色の髪に映える鮮やかな赤いバンダナを、
     優しい風がふわりと撫でていった。



     ファム大農場へと辿り着いたとある村のキャラバンは、
     十分な休息と補充を得てから、
     セレバティオン洞窟へと続く道へパパオマスの進路を変えた。
     何故かセレバティオンへ足を踏み入れることを渋る
     セルキーの青年は、幾度と無く仲間達に問いかける。
     本当に行くのか、と。
     他の場所でもいいだろう、と。

     アルフィタリア城下町で待機している四人の仲間を統べると同時、
     二手に分かれているキャラバン自体の主リーダーたるユーク女性に
     分隊(探索隊)リーダーを任された、
     理知的で聡明な同種族の異性であるヴェルーティアは、
     一番の近場で確実に雫が手に入る場所を見逃せない、と断言した。
     温和だがリルティ並みの熱い心を持つ、
     異種族で同姓、彼の親友をもつとめるアウルは、
     仮リーダーたるセルキーの乙女に心奪われながらも、
     彼女の言だからと心揺らがされることなく己が意志によって、
     俺もヴェルーティアの意見に賛成だ、と首を横に振った。
     優しくおっとりしているが芯は強い、異種族で異性で、
     彼がその想いを寄せている相手であるクララクルルは、
     以前から行ってみたかったの、行きましょう、と、
     逆に笑顔で、彼にその場へ行く事を勧め始めた。
    (……だから、行きたくないんだ)
     セルキーの青年、キリクは心の中で呟く。
    (お前が行きたがっているから、俺は行きたくないんだよ)
     低い溜息を吐くそんな彼の心中を少しも察する事なく、
     少女は尚もにこにこと微笑んでいた。

     諦めてくれないか、と親友は柔らかく彼の肩を叩く。
     彼が何に渋っているのかは理解していないだろう、けれど、
     そこに理由がある事はきっと親友である少年も分かっている。
     それでも親友は、彼を甘やかしはしなかった。
     ……彼がそこまで渋るのは恐らく、
     彼が想いを寄せている少女の為で。
     そしてああ見えてもあの少女は、結構打たれ強いのだ。
     自分と同じ種族で、
     そして従兄妹であるからこそ、少年は知っている。
     家業こそ違えど、元より農耕を生業としてきた彼らは、
     長い冬を厳しい夏を越え、
     実りの秋を待つ強さを備えているのだから。
     豊穣を約束するような恵みの大地を思わせる少年の髪を、
     穏やかな風がふわりと撫でていった。



     そのぽっかりと開いた洞窟の入り口を目の前に、
     けれどキリクはまだ渋い顔をしている。
     それに気付き苦笑を浮かべながらもアウルが、
     次いでそれに気付くことなく満面の笑みのクララクルルが、
     その開かれた洞窟の入り口へと向かう。
    「…………」
     立ち止まるキリクの肩を再び叩いたのは、
     リーダーと共に隊の最後尾をつとめるヴェルーティアだった。
    「絵本とは、童謡とは違うかもしれない現実を、
     見たくないんでしょう?
     それを信じているクララクルルが、傷付くかもしれないから」
     彼は彼女の言に動揺も見せず、舌打ちもしなかった。
     けれどだからこそ、己の予想を彼女は確信に変える。
     動揺を見せ、舌打ちをし、そのようにして己が本音を晒す事を、
     彼は良しとしないのだから。
    「どこかの場所を英雄を伝説を題材にした物語って、
     本当に起こった事そのままだったり、
     それをある程度かもしくは甚だしく脚色したものだったり、
     かと思えば根も葉もない全くの嘘だったりするわ」
     大きくなれば、知りたくも無いのに、分かってしまう事よね。
     静かに呟く彼女の言葉が、最後に微かな笑みを含んで揺れる。
     その寂しげな笑みは、
     全てを信じる純真な子供のままではいられなかった、
     嘗ての自分への追悼か。
    「セレバティオンで風は生まれ、旅立ち、そして帰ってくる。
     その伝説が、あの童謡が嘘なのか本当なのか、
     …それは分からない」
     苛立たしげに眉を寄せ沈黙したままの青年は、
     彼女と同じ事を考えているに違いない。
    「でも一つだけ、分かっている事が、確かな事があるわ」
    「確かなこと…?」
     怪訝そうな顔でそう切り返すしかない青年に、
     彼女は揺ぎ無い自信に満ちた微笑を浮かべながら告げた。

    「クララクルルはきっと、哀しんだりはしないということよ」

     驚き目を見開く青年を残し、
     颯爽と彼女はその洞窟の入り口へ踏み入っていく。
     慌てて後を追いその背を抜いた彼の耳に、
     すれ違いざま彼女が呟いた微かな声が響き、木霊した。

    「本当は、貴方がその童謡を信じられないだけでしょう?
     本当は貴方だって、信じていたいんでしょう……?」

     自分と彼はその根本が違う、とセルキーの少女は想う。
     彼は愛しい少女を想う余り盲目になっている、と。
     そんな同種族の青年を、
     そんな青年に想われている親友を優しく見守るように笑む、
     セルキーの乙女の麦穂を思わせる黄金色の髪を、
     涼やかな風がふわりと撫でていった。



    *  *  *




     ――風が止んだ。
     冷え冷えと澄んだ空気を充満させていたその洞窟を訪れてから、
     いつも絶え間なく吹いていた風が。
     巨大な魔物が彼等四人に破れ、姿を消してから。

     セルキーの少女はケージを台座へと運び、
     クラヴァットの少年はその傍らで彼女の行為を…正しくは
     彼女を…見つめている。
     クラヴァットの少女は心此処にあらずという表情で、
     呆然と海を眺めていた。
     巨大な魔物がその光景を遮るように居巣食っていた、
     幾つもの風穴から見渡せる、広大な海を。
     哀しんでいるであろう想い人の少女にどう声をかけたらいいのかと、
     義務でもないのにその想いに悩み苛まれる青年に。
     ……突如その当人が駆け寄り、話しかけてきた。
     元気一杯に、嬉しそうに、満面の笑みを浮かべながら。

    「信じていたの。
     信じていた通りだったの。
     やっぱりここは、風が生まれるところなのね!」

     …往生際の悪い…と、
     苦笑を零すしかない青年の髪を頬を首を肩を、
     一陣の風が触れ、すり抜けていった。
     魔物が生み出していた風とは違う、冷たい、爽やかな風。
     そして青年の髪の一房を攫うのは、暖かい、柔らかな風。

    (――そうか)

     全てを察した青年の胸に、温かな光が灯った。
     あの伝説の、童謡の真偽は、大した問題ではないのだ。
     魔物は確かに、風を生み出していた。
     けれども、ここに存在している風は、それだけではないのだ。
     生まれたばかりの冷たい風も、
     時を経て人の温かさに思い出に触れ暖かくなった風も、
     ここには存在しているのかもしれない。
     今、この身体に真正面から吹き付けてくる、
     海の恵みを磯の匂いを内包している温かい風のように。
     今、背後から、入り口から吹き込んで此処まで到達したのだろう、
     洞窟内の冷たさを澄んだ空気を共に運んでくる冷たい風のように。
     ここには、幾つもの風が存在しているのかもしれない。
     そう、きっと、他のどの場所よりも多く。

    (クララクルルが哀しむ訳がないな)
     口元を手で覆い苦笑しながら、
     愛しい少女の親友の言葉はやはり正しかったのだと、
     青年は思った。
     だって、彼女は信じている。
     だからきっと、哀しみは、悲しみはしない。
     ここに在る風が生まれたばかりのものじゃなくても、
     帰ってくる筈の温かい風が存在しなかったとしても。
     ここで風は生まれ、旅立ち、そして帰ってくるのだと。
     そう信じた、
     そしてきっとこれからもそう信じ続けていける彼女の中では、
     あの大好きな童謡は紛れも無い真実を謳っている事になる。

    (……俺も、そう、信じていけるだろうか)

     幸せそうな少女の笑顔を瞳に焼き付けてから、
     青年は静かに瞳を閉じた。



    『信じる信じないはあなたの自由よ』





     愛しい少女が大好きな、そしてまた自分自身も大好きな、
     あの童謡の一文が頭に浮かんだ。
     優しい風がまた、青年の頬をふわりと撫でていった。



    END  






    セレバティオンがとても好きです。ベスト3ダンジョンに入る!
    洞窟内ってほんとは空気が淀んでいるんだろうけれど、
    セレバティオンはすっごく澄んでそう&涼やかな印象があります。

    そんなこんなでべあろん。マイナー一直線べあろん。
    べあのお相手のクラちゃんは、無印サイトさんを巡ってみると
    しょーとちゃんが主流なのかなと思いつつ、
    マイナー突き進んでろんぐを推しますむふー!(鼻息荒く)
    (むぞらく♀もマイナーだけれど、べあろんよりは
    書/描いて下さっている方が若干多い気もします)

    作業中、テキストを前に硬直する私がいました。
    ……古過ぎて&散文過ぎて、今の文体と違い過ぎて、
    (今の私が書くと一文が無駄に長く&くどくなるので)
    (自覚はあるのですが治せないとか重症です)
    ある程度納得出来るレベルに す ら 改稿出来ないYO!
    (という訳で何だかほぼ原文ままになってしまいま下)
    (ほんとは載せたくなかったのですが、藤井さんが
    自分のは恥ずかしいから載せないとかなぁにそれ?と
    微笑まれましたので、泣く泣くのアップになりま下)
    アンソロに寄稿する時の自分(4年前の自分)にとっては、
    これでも何とか納得出来るレベルだったんだなぁと思うと、
    居た堪れなくて恥ずか死ぬ想いです……
    せ、成長成長!成長したのよ!<白々しいと言わないで

    ……オン上で公開していたものもの手直せるのかしらと、
    今更に不安に思うのでした……
    も、考えるのめんどいや<意識を手放し始めた!

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